で きれば、ここに来ないで、そっちで死んで。ばいばい。


 ここはじごくぜつたいこないで

 ここは地獄絶対来ないで。


「嫌われてもいい。それで緒方が助かるなら。封筒と切手はどこで手に入れるのか、私、柘植に聞いてくる」

 杏はあたしを残して小走りで部屋を出た。

 杏が居なくなった後、あたしは大声で笑った。


   ***


 その日の夜、あたしは、杏が学園の事務局に提出した封筒から、あの隠れメッセージを忍ばせた手紙を取り除くと、杏の筆跡を真似て偽の手紙を綴り杏の出した封筒に戻し、それを本土に送るように事務員に指示を出した。


 前略、緒方へ。

 こんにちは、緒方。

 あなたの気持ち嬉しいよ。私もすぐにでも会いたい。

 早く転入してきてよ。

                           加藤杏

 杏、あなたの書いた手紙は絶対あなたの大切な男の子には届かないよ。

 稚拙すぎる暗号はその子には届かない。

 あなたの初恋男の子も早くこっちに来ると良いな。

 あなたの次は、そいつを壊してあげるね。