「そんなの無理だよ! あたし達の出す手紙もチェックされるじゃん! 捨てられて終わりだよ!」

 あたしはお馬鹿な杏ちゃんにもう一度、今の状況を説明してあげた。

「分かってるよ。だから、そこは工夫する」
「工夫って……」

 あたしが見ている前で、杏は便せん代わりの手帳に返事を書き始めた。



 前略、緒方へ。

 こんにちは、緒方。

 こんなにも早く、あんたから手紙が来るなんてびっくりだよ。

 はっきり聞くけど、あんた私に恋した?

 じつを言うとさ、私は、もうあんたの顔なんて見たくもないんだ。

 ごめん、私がちょっかいかけたせいで、あんたに勘違いさせたみたいだね。

 くだらない友達ごっこしたかっただけなんだよ、私。

 ぜっかいの孤島に連れられて、私は今、とてもイライラしてる。

 つきまとわれたくないな。あんたストーカーかよ(笑)

 たいした容姿でもないあんたに、私が恋するとかありえないから。

 いいかげん分かれよ、童貞。

 こーいう手紙も迷惑んだよね。キモいし。

 なんで、本気にしちゃうか理解不能だよ。

 いいかげん現実を見なよ、バカの妹殺し。

 できれば、ここに来ないで。そっちで死んで。ばいばい。

                                     加藤杏


「……さすがに、これひどくない?」

 バレバレすぎでしょ、という二重の意味を含ませてあたしは杏に言ってやった。


 こ んにちは、緒方。

 こ んなにも早く、あんたから手紙が来るなんてびっくりだよ。

 は っきり聞くけど、あんた私に恋した?

 じ つを言うとさ、私は、もうあんたの顔なんて見たくもないんだ。

 ご めん、私がちょっかいかけたせいで、あんたに勘違いさせたみたいだね。

 く だらない友達ごっこしたかっただけなんだよ、私。

 ぜ っかいの孤島に連れられて、私は今、とてもイライラしてる。

 つ きまとわれたくないな。あんたストーカーかよ(笑)

 た いした容姿でもないあんたに、私が恋するとかありえないから。

 い いかげん分かれよ、童貞。

 こ ーいう手紙も迷惑んだよね。キモいし。

 な んで、本気にしちゃうか理解不能だよ。

 い いかげん現実を見なよ、バカの妹殺し。