次の日の夜、また髪を乾かしながらお香をにらんでいると、スマホが鳴った。

おじさんからのメールだった。

Bonjour、七月子。僕は今パリにいます。お香楽しんでくれているようで良かったよ。是非毎日使って欲しいな。パリのお土産も楽しみに。

楽しんでないっつーの!

でも昨日の不思議な体験を思い出して、わたしは性懲りも無くまたお香に火を点けていた。

ふと思い立って、ドアを少し開けておくことにした。

やがて昨日のようにわたしの部屋は牢獄そのものの様相を呈し始めた。

よく見れば部屋はわりと広い。ベッドにイスとテーブルも置かれている。

しかも古い映画に出てきそうなアンティーク家具みたいなやつで、牢獄に置いてあるにしては高級感が半端ない。

シングルベッドが、天蓋付きのダブルベッドに変わっていて、小学校から使っている学習机はマホガニーのライティングビューローになっている。

開けておいた扉の方を見れば、案の定鉄格子も少しだけ開いていた。

外はどうなってるのか、この際見てみなくちゃ。