お風呂あがり、髪の毛を乾かしながらおじさんの手紙を読み返していた。
とても珍しいお香とあるが、見た感じはどこにでも売っているような棒状のお香だ。匂いもポピュラーなサンダルウッドだと思われる。
しかも感想を聞かせて欲しいとある。
今までにもいろんな国のお土産をもらったけれど、感想を聞きたいと言われたのは初めてだ。
どこがそんなに珍しいんだろう?
煙に秘密が?
考えてみても分からない。とりあえず一本取り出して火を点けてみることにした。
風が当たって倒れるといけないから、一旦ドライヤーは置いておこう。
すぐに漂いはじめた煙をじっと見つめる。
これといっておかしなところはないようだけれど……
クッションの上に座っていたはずなのに、やけに足が痛い、と思って見たらなぜか床が石になっていた。
しかも汚い。それに臭い。
おじさん、このお香、全然いい匂いしないんですけど!
インドがどっちか分からないけれど、とりあえず天井の方を見て文句を言ってみたら、おでこに水滴が落ちてきた。雨漏り?
え、ウソ……。雨漏りなんて未だかつてなかったよ。お母さん、大変! 屋根の修理頼まなくちゃ。
立ち上がって一階にいる母親に報告に行こうとしたら、ドアが鉄格子になっていた。
なんじゃこりゃー!!
って思わず叫びそうになったけど、そんなことあるわけない。これはきっと夢だ。
汚い石の床に、壁まで石でできている。ドアは鉄格子って、これってまるで牢獄じゃん!
なんてリアルでおかしな夢! あのお香のせい?
明日おじさんにまたメールで報告しなくちゃ。もしかして違法ドラッグとか入ってないよね? さすがにかわいい姪っ子にそんな危ない物送らないよね?
いや、あのおじさんのことだから、何も知らずに送ってきた可能性も……。
そうこうしているうちに、いつの間にか自分の部屋に戻っていた。
お香は燃え尽きていた。