煙に巻かれるように視界がかすみ、わたしは自分の部屋の中にひとり立っていた。

戻れたんだ……。

ほっとしたのと同時に頭が混乱し始める。

あそこにいたのはおじさん? それとも全くの別人?

もしおじさんならわたしのことが分かったはずだ。

最後まで名前も聞かなかった。

いつまでも胸がざわついてしかたなかった。

おじさんがテロに巻き込まれて消息不明だと聞かされたのはその夜のことだった。