追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「やっぱりシンディーはすごいよ。なんだか疲れが吹っ飛んじゃったみたい」
「本当ですか!? ありがとうございます! お世辞でも嬉しいです」
「お世辞なんかじゃないよ。本当にそう思うんだ」
「そう言ってくれたら、わたしも張り切っちゃいますよ。そうだ。『強くな〜れ』って念を込めながら、治癒魔法をかけちゃいます!」
「ははは。頼もしいね」
 彼女の手からさらに温かさが伝わってくる。
 体の内側から力が湧いてくるようで、心なしか思考もクリアに──。

 ──ガシャンッ!

 その時──お風呂場の外でなにかが落ちた音が聞こえた。
「きゃっ!」
 それに驚いたのか、シンディーが──後ろから僕の体に抱きつく。
「シ、シンディー!?」
 音そのものよりも、僕はシンディーの行動に驚いた。
「な、なに、してるの!? 早く離れて!」
 僕にしては、強い言葉を使ってしまったかもしれない。
 でも仕方ないんだ。