追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「わたしを育ててくれた親戚は、とても親切にしてくれました。だから──わたしも弱い人たちを守れるような、そんな冒険者になろうと思ったんです。すみません、ありがちすぎて退屈ですよね?」
「いや、そんなことはないよ。立派な理由だ」
 優しく、シンディーに言う。
 今日一日、彼女と行動を共にしただけで分かった。
 シンディーは──とんでもなく優しい子だ。
 他人のすごさを素直に認め、初めて会った僕みたいな人間にも親切に出来る。
 そんな彼女の口から語られるからこそ、その理由が思い付きではなく、決して薄っぺらいものじゃないことが分かった。
「でも……せっかく使えた魔法は役立たずで、わたしはポンコツ治癒士と呼ばれています。他人を助けるどころじゃないんですけどね。いつも自分のことで精一杯です」
 そう言うシンディーの言葉には悔しさが滲み出ていた。