強大な力をもって、全てを壊す破壊神だ。
 オークキングは様子を窺うように、僕を見下している。
「逃げる……ってのは無理かな?」
 戦っても勝てっこない。僕とオークキングには、それほどの実力差がある。
 しかしこうして相対して見て分かる。
 こいつに背中を向けて逃走するなど、ただの自殺行為だ──と。
 その証拠に全力疾走で逃げても、すぐに追いつかれてしまった。
 それに──全身が恐怖で震えているこの現状では、逃げてもまたさっきみたいに転倒してしまうのが目に見えている。

 グオオオオオオオ!

 オークキングは僕を弱者だと判断したのか──再度、巨大な棍棒を叩きつける。
 僕はボロボロの剣を抜きながら、横っ飛びで攻撃を回避した。
 ──僕だってなかなかやるじゃないか!
 そう思ったのも束の間。
 オークキングは攻撃の手を休まず、二撃……三撃と棍棒を振り回した。
「くそっ!」