追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

 その後、シンディーが前を歩き、僕たちは宿屋を目指した。
「ベル……君の名前がベルフォットっていうのは知ってた?」
 道中、声を潜めてベルに質問してみた。
『初耳じゃ。やはり八百年間眠っていたせいで、まだ記憶が完全ではないようじゃ。しかし頭の片隅に少しだけ残っておったから、ベルという言葉が浮かんだんじゃろうな』
「なるほど。一応聞いておくけど……これからも君の名前はベルのままでいいのかな?」
『無論じゃ。そもそもベルフォットだなんて、長ったらしい名前は嫌いじゃ。センスも悪いしのお。妾のことは今まで通り、ベルと呼ぶがいい』
 ベルというだけなら、猫の名前としてそこまで変じゃない。このままでも問題ないだろう。
「フィルさん、ベルちゃん? なにふたりで話しているんですか? わたしも混ぜてください!」
「な、なんでもないよ! 大したことじゃないから!」
「……?」