眼前には巨大な人型の魔物がいた。
　人型といっても、人間とは似ても似つかない。
　遥か上に魔物の頭部があって、その全貌は掴めない。それくらいの大きさだ。
　僕はそれを見て、震えた声でこう言う。

「オ、オークキング!?」

　突如現れた魔物──オークキングはその右手に持っている巨大な棍棒を、僕に振り下ろした。
「ちぃっ！」
　地面を転がって、間一髪のところで回避する。
　しかし数瞬前に僕がいた地面に大きな穴が空いている。力任せに振るっただけでもこの威力。さすがは歩く天災とも称される魔物だ。
「くそっ！　街までもう少しだっていうのに、オークキングなんかと遭遇してしまうなんて！」
　立ち上がり、そいつと正体する。
　今まさに、とんでもない剛力を披露した魔物──オークキング。
　こいつを倒すにはＳＳＳランク冒険者が必要だとも言われている。