「あ、あなたは……?」
 女の子のところに駆け寄ると、彼女は僕に顔を向けた。
「説明は後! ちょっとしゃがんでて!」
 彼女は僕の言う通り、頭を抱えて体勢を低くする。
 よし……これなら大丈夫!
 彼女の安全を確認した後、僕は魔剣でゴブリンたちを薙ぎ払った。
「ブジャアアアア!」
 断末魔を上げ、斬られる複数のゴブリン。体が裂け、緑色の血が辺りに飛び散るグロテスクな光景だが……こんなのは冒険者になってから何度も見てきたことなので、今更怖気付いたりはしない。
「す、すごい! あっという間にゴブリンが!」
「安心するのは早いよ。まだ──あいつが残っているんだからね」
 上空を見上げると、フライゴブリンが驚いた面持ちでこちらを見下ろしている。
 その一瞬の怯みを見逃さず、僕は地面を蹴って跳躍した。
「運が悪かったね。今の僕は誰にも負ける気がしない」