いくら魔剣で身体能力が向上していようとも、それでカチカチストーンを両断することは出来ないからね。
「どうですか?」
 魔剣を鞘に収め、受付嬢さんに顔を向ける。
 しばらく固まっていた受付嬢さんだが、前のめりになって──。

「え、ええーーーー!? ほ、本当にカチカチストーンを真っ二つに斬った!? こんなの初めてです!」

 と驚きの声を発したのだった。
 続けて。
「も、もちろん試験は合格です! お見それしました! 色々すっ飛ばして次は最終試験にしましょう! もう一度ギルドの受付まで付いてきてくれますか?」
「分かりました」
 頷き、その場を去ろうと一歩を踏み出す。
『おお、フィル。気持ちいいもんじゃな。ほら、見てみろ。さっきまで五月蝿(うるさ)かったバカ共が、おとなしくなっておるわ』
「そうだね」
 ベルの言う通り、周囲の野次馬たちはただただ唖然としていた。