周囲の野次馬も同じことを思っているみたいで、僕をバカにする笑い声をさらに大きくした。
 しかし僕はそれを無視して、
「確認は取りましたからね」
 鞘から魔剣を抜く。
 刀身が禍々しい黒色に染まった剣。相変わらずちょっと不気味だけれど、今は不思議と頼もしく見えた。
『さっさと終わらせろ。早く妾は美味しいものを食べたい』
 ベルは僕の成功を疑っていないのか、退屈そうに口にした。
 僕は目を瞑り、精神統一。そして剣を大上段に構え──。
「はあああああっ!」

 一閃──巨岩を両断した。

 真っ二つになったカチカチストーンが大きな音を立てて、地面に転がる。切断面も真っ直ぐでキレイだった。

【剛力】

 オークキングを倒した際に、この魔剣が習得したスキルだ。
 やはりベルが言っていたことは本当だったらしい。