「おーい、そこの坊や? 今ならやめられるぜ。恥をかく前にやめちまいな」

 たまたま周囲にいた野次馬が、僕に罵声を投げかける。
 僕が試験に不合格になる様を見学するつもりだろう。
 なら悪いけれど、その期待には応えられそうにないね。
「一応確認しておきますが、この岩を真っ二つにしても構わないんですよね?」
「え? はい、問題ありません。でもこれはただの岩じゃないですよ? 火山で採れた貴重なカチカチストーンです。そんなことなんて出来ないと思いますが……」
 カチカチストーンは非常に硬く、防具を作る際にも使われることが多い岩だ。
 受付嬢さんがそう言うのも仕方がない。

「ギャハハ! あの男、カチカチストーンを真っ二つにするつもりだぜ?」
「ああ、ダメだ……笑いすぎて、腹がねじ切れる。そんなこと、出来るわけねえじゃないか!」