オークキングの核が残っていれば、それを換金すれば済む話だけれど……あれは魔剣に取り込まれてしまって今はもうない。
 証拠もないのにオークキングを僕が倒したと言っても信じてもらえないだろうし、やっぱり無難な依頼を受けるのが正解か。
 しかし──ここで問題が生じる。
「では、まずは冒険者ライセンスを見せてくださいますか? それから依頼の紹介に移りたいと思います」
「あっ」
 つい声をあげてしまう。
 そうだ……僕がギャロルから渡されたのはボロボロの剣だけ。僕の荷物は全部ギャロルに預けていたから、冒険者ライセンスが手元にないのだ。
『フィル? さっきから聞いておったが、その冒険者ライセンスというのはなんじゃ? それがなければ困るのか?』
「ね、猫が喋った!?」
 ベルが僕に話しかけているのを見て、受付嬢さんが大きく目を見開いた。