「その時、僕に渡されたのはボロボロの剣──つまり魔剣だね。それだけだったんだ。つまり……」
『お、お金も持たされずに追放されてしまったということか!?』
「そういうこと」
 肩をすくめる。
「だから食べ歩きをしようにも、お金がなかったらどうしようもないわけ」
『強奪すればいいだけの話ではないのか? そなたは魔剣の所有者となったのじゃぞ。それくらい、容易いことなのじゃ』
「ダ、ダメだよ。そんなことをしたら、街の自警団に捕まってしまうからね。僕たちが目指している自由な冒険者像から離れてしまう」
『うむ……人間社会というのもなかなか面倒臭いんじゃな』
 と納得するベル。
 ベルってたまにさらっと怖いことを言うんだよなあ……まあ魔神なんだし、人間社会の常識を知らないから仕方ないけれど。
 でも基本的に聞き分けがいいし、その都度僕が説明すれば問題ない……はずだ。
『では、どうする?』