「私はカジノに行ってくるわ。今日こそ一発当ててやるんだから!」
 ゲスな笑い声をあげるパーティーメンバー。
 既に彼らの中で、フィルの存在は薄くなっていた。
 だが。
「……資金面がちょっと心配じゃねえか?」
 パーティーメンバーのひとりがそう声をあげる。
「ああん? お前、そんなこと気にしてんのかよ」
「ま、まあな。結局、あの遺跡で手に入れたのはボロボロの剣だったじゃねえか。それに借金もある。遺跡でお宝をゲットして返済しようと思っていたが、その計画も崩れた。このままなら……」
「つまらねえことを言うんじゃねえ!」
 怒声をあげるギャロル。
 懸念を口にしたパーティーメンバーの肩がビクンッと上下に跳ねる。
「俺はSSSランク冒険者なんだぞ? 依頼をこなせば、金なんていくらでも手に入るじゃねえか。借金の返済を急かされれば、そいつを殺して踏み倒してもいい。野暮なことを言うんじゃねえよ」