理由はそれだけではない。
 ギャロルたちは不満の捌け口が欲しかったのだ。
 それに口答えもしないフィルはうってつけの人材だった。
 フィルのような最底辺を見ていると、自分たちが上だと実感出来る。なにかミスがあっても、彼にそれを全て押し付けてしまえばいい。
(だが……最近はそれも飽きてきた)
 最初は良い退屈しのぎになっていたものの、繰り返せばただの日常になる。
 それを自覚した瞬間、急に彼のことが煩わしく思えてきた。
 そしてフィルを追放し、この退屈しのぎのフィナーレといこう……と、とうとう実行に移したのであった。
「さあて。フィルもいなくなったし、このまま王都に戻るか。早く夜の街に繰り出して、遊び尽くしたいぜ」
「賛成〜! そういや、あの酒場のお姉ちゃん。もうちょっとで落とせそうなんだよなー。金をチラつかせれば、女はすぐに尻尾を振るからチョロいもんだぜ」