「おいおい、人聞きが悪いな。ただ俺はオークキングのことをすっかり忘れていただけだ」
「よく言うよ。ギャハハ!」
 ギャロルの言ったことに、笑い声はさらに大きくなっていく。
 ──無論、ギャロルが本当にオークキングのことを失念したわけではない。
 フィルにはわざと伝えていなかったが、オークキングが最近この辺りで暴れ回っており、近くの街から討伐依頼も出ていることは掴んでいた。
 なら、ここでフィルを追放すれば彼が生き残る可能性はさらに低くなる。
 そう考えて、ここで追放を言い渡しただけのことであった。
(最高の余興だったな。しばらくは良い酒の肴になりそうだ)
 と思いながら、ギャロルはフィルをパーティーメンバーに加えた当時を思い出す。
 ──最初は雑用係という名の奴隷が欲しかっただけだった。
 ゆえにフィルのような新人冒険者を招き入れ、ギャロルたちは彼を今まで散々コキ使ってきた。