追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「フィルさんのことを嫌いになるはずがありません! フィルさんが強いのは、魔剣のおかげじゃなくて、あなたが諦めずに努力を続けていたからです。あんなに強いのにそんな弱気じゃ、わたしの方が自信をなくしちゃいます!」
「ううん、僕は強くないよ」
 自分に言い聞かせるように、彼女に対して言葉を続ける。
「これは聞いているか分からないけど──僕は元のパーティーを追放されて、負の感情を抱えていた。それくらい心が弱かったから、魔神に選ばれたんだと思う。だから──僕は弱い。君が思っているほど、僕は強い人間じゃないんだよ」
「…………」
 シンディーはそれに黙って耳を傾け、真っ直ぐ僕の瞳を見続ける。
 しばらく場に沈黙が流れていたが──やがて彼女から口を開いた。
「わたし、思ったんです。フィルさんが魔剣に選ばれたのは、負の感情を抱えていたからじゃない……って」
「え?」