僕の言葉をベルは黙って聞き続ける。
「だから僕は君に恩返ししなくちゃならない。それに……僕にはどうしても、君が悪いヤツだとは思えない」
『甘いな。それはそなたの推測じゃ』
「じゃあ聞くよ。ベルは僕の敵なの?」
『いや──』
 ベルは優しげに笑って、
『そうでないに決まっておろう。もし敵なら、そなたみたいな弱い人間じゃなくて、もっとマシなヤツに力を貸しとるわ』
 と淀みない口調で言った。
「そうだろ? だから僕は君と共に歩むことに決めたよ」
 それにリオネルみたいなヤツが、ひとりだけとは限らない。魔剣の力を知ったら、これを悪用しようとする者がまた現れてもおかしくない。魔剣を使い、世界征服を企むかもしれない。
 しかし思う。
 ベルはそんなことを望んでいないって。
 だから僕はベルと正しい道を歩む必要がある。
 僕らはふたつでひとつ。
 片方が欠けても、正しい道は歩けない。