「答えは──どっちも違うよ」
 ベルの瞳を真っ直ぐ見て、僕はそう即答した。
「また僕は負の感情に飲み込まれてしまうかもしれない。ああなった以上、あまり偉そうなことは言えないからね」
 思えば──僕が魔剣の所有者に選ばれたのは、ギャロルに追放されたからかもしれない。
 リオネルはあの時、言っていた。

 ──君には魔神を覚醒させる負の感情(・・・・)が、既に備わっていたということだよ。

 あんなに頑張ってきたのに!
 どうして僕が追放されなければならないんだ!
 ……と僕の中で負の感情が生まれた。
 無論、そんなことは思っていない──つもりだった。
 だけど実は自分の感情を見て見ぬふりしていただけで、心のどこかでそう思っていたのかもしれない。
 今回のことで、嫌でもそれを実感してしまうのだった。
「だけど──君の力がなければ、僕はあの時、シンディーとカトリナを死なせてしまっていただろう」