僕は魔剣を鞘に収めて、街に向かって歩き出す。
 これが冒険者として本当の始まりの一歩になる──そんな予感がした。

《ギャロル》

 フィルがいなくなった後。
「あいつがいなくなって、せいせいしたな」
 ギャロルはパーティーの仲間たちにそう同意を求めていた。

「ほんとほんと。あいつの辛気臭い顔を見てたら、イライラするからな」
「でもさっきのは傑作だったわね。あんなボロボロの剣なんか渡されて、どうするつもりなのかしら〜?」
「すぐに魔物に殺されちまうに決まっているだろうが! 魔物から助けて〜って逃げ回っている姿も見学したかったな」
「違いないわね。ははは!」

 仲間たちはフィルの悪口を言って、高らかに笑っている。
「それにしてもギャロル君も人が悪いぜ。この辺にはオークキングの目撃情報があっただろう? 他の弱い魔物ならともかく、あいつがオークキングから逃げられるはずがない」