『うむ。どうやらシンディーも今まで──意識的なのか無意識なのか分からぬが──昔の記憶がなかったらしい。そしてこの土壇場で記憶が戻り、聖女の力を発現させたわけじゃな』
「な、なんということだ……」
 リオネルや八百年前の戦いのことといい、この短時間で色々なことを聞かされ、頭がパンクしてしまいそう。
『まあそなたに妾が色々言いたいのも分かる。しかし今は──』
「フィルさん!」「フィル!」
 ベルと会話を続けていると、シンディーとカトリナが僕に抱きついてきた。
『勝利のご褒美をたーんと味わえ』
 なんだかよく分からないが、ベルはニシシと愉快そうに笑った。
「ふ、ふたりとも!? リオネルにやられた傷はもう大丈夫なの?」
「はい! なんかよく分かりませんが、わたしって聖女だったみたいです! その力でフィルさんもカトリナさんの傷も、ついでに治っちゃいました! これも聖女の力らしいです!」