そんな彼の浮かべる笑顔こそが、シンディーは大好きだったのだ。
「フィルさーーーーーーーん!」
 叫ぶ。

 いつもフィルさんに幸せを貰ってばっかりだから、今度はわたしが彼を救わないとっ!

 その強い感情は輝きを放ち、やがて大切な人を守る礎(いしずえ)となった。

 ◆ ◆

「フィルさーーーーーーーん!」

 シンディーの叫び声が聞こえたと同時──僕は体の内側から優しい温かさが湧いてくるのを感じた。
 眩いばかりの光が辺りを包んでいた。
「こ、これは……?」
 どうやらこの光の発源地は僕らしい。
 なにがなんだか分からないでいると。
『うむ、どうやら間に合ったようじゃな』
 右肩に光る猫型の輪郭が現れ、徐々にその像を結んでいく。
「べ、ベル……だよね?」
『決まっておろうが。誰だと思っておるのじゃ。そんなことより、さっさとその剣をしまえ。もうとっくに正気を取り戻しておるじゃろうが』