追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

 幸いここにはカトリナがいる。彼女なら魔剣を正しく運用することが出来るだろう。もしかしたらまた、封印するかもしれない。
 僕は晴れやかな気持ちのまま、この世を去ろうとしていた。
 しかし──。

『思い出せ、聖女シンディーよ! 八百年前、そなたの一族が妾になにをしたのか思い出すのじゃ!』

 ベルの声が聞こえた。

《シンディー》

 幼い頃、シンディーは盗賊に両親を殺された。
 しかし──それは真実ではなかった。
 シンディーの両親、そして村を焼き払った張本人──それは盗賊ではなく、緋色のローブを着た人たちであった。
 それは言わずもがな、ベルフォット教の信者である。
 どうしてそうなったのか。
 それは彼女が八百年前──魔神を封印した聖女一族の末裔だからであった。

 時は八百年前に遡る。
 魔神を封印した彼女らが次に求めたのは、安息の地であった。
 聖女の力は偉大である。