追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

 そのおかげでリオネルに圧勝し、シンディーとカトリナを守ることが出来た。
 だが──その代償に全人類の負の感情が、今も僕の頭を強襲していた。

「死ね死ね死ね死ね!」「殺す殺す殺す殺す!」

 おかしくなってしまいそうな量の邪念だ。
 戦いの最中──そして終わった後も、それに耳を貸さないようにしていたけれど……どうやら体は正直らしい。
 邪念にどっぷりと浸かった僕の体──そして思考よりもさらに奥深くで邪念は根付き、とうとうカトリナを殺そうとしてしまっていた。
「全く……ベルに偉そうなことを言っていたのが情けないよ」
 ごめん、ベル──。
 もう少し、君と一緒にいたかったけれど、僕はここまでのようだ。
「死ぬ覚悟ならとうに出来ていた──っ! 今更、自分の命を惜しむ気はない!」
 僕が死ねば魔剣の所有権が他人に移る。