「どっちの君が正しいの? 可愛い猫のベルと、恐怖の根源であるベル。僕にはまるで別物だとしか思えないよ」
「さあな。じゃが、リオネルの魔力に触れて記憶が戻り──ひとつ分かったことがある」
「記憶が戻ったの? じゃあ──」
「妾は人間の負の感情から生まれた」
彼女は淡々と考えを口にする。
「騙したい盗みたい犯したい殺したい……そういう感情からな。じゃから、そなたにも訪れる邪念は、元々は人間から来たものなのじゃ。それも全人類──からな」
「全人類……」
そんなものが僕にのしかかっているというのか?
しかしそれはおかしい。
そんなものをこの身に受けてしまえば、正気を保てるはずがないからだ。
ギャロルのことを思い出す。
彼は負の感情の塊のような人間だった。
あんなものが何十倍、いや何百倍何千倍にも膨れ上がって、僕の体を覆う。
「さあな。じゃが、リオネルの魔力に触れて記憶が戻り──ひとつ分かったことがある」
「記憶が戻ったの? じゃあ──」
「妾は人間の負の感情から生まれた」
彼女は淡々と考えを口にする。
「騙したい盗みたい犯したい殺したい……そういう感情からな。じゃから、そなたにも訪れる邪念は、元々は人間から来たものなのじゃ。それも全人類──からな」
「全人類……」
そんなものが僕にのしかかっているというのか?
しかしそれはおかしい。
そんなものをこの身に受けてしまえば、正気を保てるはずがないからだ。
ギャロルのことを思い出す。
彼は負の感情の塊のような人間だった。
あんなものが何十倍、いや何百倍何千倍にも膨れ上がって、僕の体を覆う。
