追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「手加減している私相手に、こんなに苦戦していて──どうやって君は私に勝つつもりなのかな?」

 絶望の言葉を告げる。
「おや? やっと良い顔をしてくれるようになったね。そんな顔は昔、あいつら(・・・・)を皆殺しにした時以来だ」
 体が硬直する。それは心のどこかで「もしかしたら勝てないのでは?」と思ってしまったからだろう。
「フィルさん! 今、助けにいきます! もっと近くで強化魔法をかければ──」
「ダメだ、シンディー! 逃げろ!」
 こちらに駆け寄ってくるシンディーに手を伸ばす。
 しかし間に合わなかった。
「虫は潰れろ」
 リオネルが彼女に手を向け、ぎゅっと握り拳を作る。
 次の瞬間──爆ぜた。
「きゃああああああ!」
 シンディーの甲高い悲鳴。
 光の爆発によってシンディーの体が浮き上がり、そして地面に叩きつけられた。
 ぐたーっと脱力して、彼女はそのまま動かなくなってしまった。