追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「完璧に捉えたはず……回避は不可能だった。それなのに何故……」
「決まっている。自分の一部(・・・・・)を斬ることを、魔剣が拒絶したということだろう」
「……?」
「不思議そうに思っているね。なら冥土の土産に、私の真の姿を見せてあげよう」
 とリオネルがさらに魔力を放出。
 黒色の魔力がリオネルの体を中心に吹き荒れ、徐々に彼の体を変質させていった。
 そしてリオネルは人間ではない──まるで魔物のような姿へと変貌を遂げたのだ。
「えっ……?」
 しかし僕はその変化自体に驚いたわけではない。
 だって彼の体から──。

「私は八百年前、魔神の右腕を喰らった。その時から私は純粋な人間ではないのだよ」

 確かに、ベルと似た匂いを感じ取ったのだから──。


『そうか。そういうことじゃったか』
 とベルの声が、この混戦の中で何故だかはっきり聞こえた。