追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

 彼の言ったことはまさしく、僕がオークキング──そして邪竜と戦った時の状況と同じだったからだ。
「迷いが出たね」
 ふっと笑いかけるリオネル。
「いわば君と私は同類。だからもう少し仲良くしようよ」
「断るっっっっっっ!」
 この感情の起因が分からない。
 しかしリオネルの言葉から目を逸らしたい僕がいた。
 さらに魔剣を握る力を強いものとし、早期に決着を付けようとする。
「おっ、速度が上がったね。でも──」
 そうリオネルが言葉を続けようとした時であった。
「捉えたっ!」
 まるで幻のようにすら感じていたリオネルの姿が、目と鼻の先にある。
 この距離なら避けられないっ!
 魔剣を横薙ぎに払う。魔剣がリオネルに体に食い込──
「!?」
 ──もうかとした瞬間。

 魔剣が嘘のように彼の体をすり抜けたのだ。

「思った通りだ」
 反対側に走り抜けた魔剣を引っ込め、僕はひとまず彼と距離を取る。