追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

 先に仕掛けたのはカトリナだった。
 彼女はリオネルとの距離を一気に詰める。その速さは既に神域に達していた。
「捉えた……っ!」
 カトリナは剣を一閃。
 刃がリオネルの体を斬り裂いた──かのように見えた。
「どうしたんだい? こんなところで素振りの特訓かい?」
「……っ!?」
 カトリナの剣が捉えたのは、リオネルの残像だった。
 いつの間にかリオネルはカトリナの背後にいて、彼女に手をかざす。
「カトリナ! くっ……シンディー、いつものお願い!」
「任せてください!」
 このままでは間に合わないと判断した僕は、シンディーに強化魔法をかけてもらう。
 体の内側が熱くなる。筋肉が躍動し、感覚が研ぎ澄まされていく。
 氷の矢がカトリナに放たれるのが見えた。
「はあああああっ!」
 疾風のごとく駆け抜け、カトリナとリオネルの間に割って入る。
 発射される氷矢を、僕はひとつ残らず斬り捨てた。