「仮に君が世界を支配出来たとしよう。でもそうなったら、色々と大変だよ? まず国民に働いてもらって、税金を取らないといけない。税金が多すぎても反乱になるし、少なすぎたら国が成り立たない。その計算が君には出来るのかな?」
『面倒臭そうじゃな……』
「でしょ? 歯向かう者を殺しまくっても、今度は取れる税金が少なくなるからね。その他にも外交だったり軍の整備だったり膨大な事務作業も……」
『むむむ? 聞いていると、あんまり楽しくなさそうに思えてきたぞ?』
 魔神の心がぐらついた。もうひと押しだ。
「だからそういう面倒なことは無視して、自分なりに自由に楽しく生きる……それもひとつの道だと思うんだ」
『た、確かに。じゃが、どうすれば……』
「そこで冒険者だ。冒険者というのは自由な仕事だからね」
 冒険者というのは好きな時に依頼を受け、疲れたと思ったら休むことも可能なお仕事だ。