追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「話をしてくれて、ありがとね。あたしはそろそろ行くわ」
「いえいえ、そんな大したこと喋っていないですし、お気遣いなく」
「わたしこそ、ありがとうございます! 憧れの人とお話し出来て、嬉しかったです!」
 シンディーの言ったことに、カトリナさんが表情を緩めた。
「あっ、そうそう。ベルフォット教と魔神について、伝え忘れていたことがあったわ」
 カトリナさんは部屋から出ていく前、僕たちにこう言い残したのだった。
「残っている記録では──魔神は最終決戦で右腕を切断されたと聞く。戦いが終わった後、当時の人たちはその右腕を探したらしいんだけど──見つからなかったらしいわ。
 その見つからなかった右腕はベルフォット教の信者が、大事に保管している──なんていう与太話もあるわ。さすがにこれは嘘だと思ってるけど……彼らのことだから油断出来ない。あなたも気を付けてね」