追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

 みんなの憧れである聖騎士を前にして──そしてなにより彼女の美しさに、魔剣のことなんてすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
「あら、その隣で寝てる猫はあなたのペットかしら?」
「そ、そうなんです! ペットのベルっていいます! ベルも挨拶して!」
「にゃあ〜」
「ふふ、可愛いわね」
 ほっこり笑顔の彼女。
 ベルが変なことを喋らないか心配だったけれど……この調子なら問題なさそうだ。
 というか猫っぽい鳴き声を出せたんだね。ここにきて新事実が発覚だ。 
「もしかして……あなたはカトリナさんですか?」
 あたふたしている僕の一方、シンディーは震えた声で彼女にそう質問した。
「そうよ。あたしのこと、知ってたの?」
「も、もちろんです! 十六歳にして聖騎士の第一隊の隊長を任されるほどの逸材! 聖騎士制度が始まって以来の天才で、その美しい剣捌きは歴代最高峰だとか!」