なのに彼がもし魔剣の所有者に選ばれてしまったら?
 考えるだけで恐ろしくなる。
 だから魔剣に恐怖や不気味さを感じているものの、ベルを恨む気持ちなど一切なかった。
 それこそお門違いというものだ。
『……そうか』
 そう言うベルの瞳には安堵が宿っていた。
「でもまた記憶が戻ったら、すぐに話してよね。僕と君はもう一蓮托生の仲なんだから」
『無論じゃ』
 と頷くベルは、やっぱり魔神だと信じられないくらい可愛らしくて──そして頼もしかった。

《ギャロル》

 一方のギャロルたちは、王都の冒険者ギルドを訪れていた。

「おっ? これなんか、丁度いいじゃねえか」

 そこで目に付くものを見つけ、ギャロルが依頼票を手に取った。
「ははは! やっぱり天は俺たちに味方しているらしい。これ見ろよ。たんまりと報酬金が頂けるみたいだぜ」
 と彼は他のパーティーメンバーにも依頼票を見せる。