しかし僕はこういう時、往々にして悪い目を出す。
 ギャロルのような悪人の手に、魔剣が渡ってしまうかもしれないのだ。
 その場合、彼は魔剣の邪念などお構いなしに、自分の好き勝手に振る舞うだろう。
 あれくらいの小者なら、まだいい。
 たとえば、世界征服をしようとする輩が魔剣を手にした場合──それこそ、八百年前の魔神がいた世界の再来となってしまう。
 だから。
「いや……この魔剣のふさわしい人が見つかるまで、今はまだ君と行動を一緒にするよ。それでもいいかな?」
『ふさわしい人が見つかるまで(・・)……か。分かった。そなたがそう考えるなら、妾は口を挟まぬ』
 この言い振りだと、ベルも僕の覚悟に気付いているようだ。

 ──もし魔剣にふさわしい人が見つかったら、喜んで僕は死のう。

 それだけじゃない。