少しの沈黙が流れた後。
『……それは違う』
 しかし僕の考えをベルは否定した。
『妾は誰にでも尻尾を振る尻軽女じゃない。そなたが選ばれた理由は妾にも分からぬが──必ずあると思う』
「でも……」
『それにそなたはもう、魔剣の所有者に選ばれてしまった。これがどういうことか分かるか?』
「え……?」
 ベルがなにを言いたいのか分からなくて、聞き返してしまう。
『もう一度、魔剣を握って強く念じてみせよ。話はそれからじゃ』
 ベルに言われた通り、魔剣を握ったまま目を瞑る。

『魔剣。・状態【呪い】・スキル【身体強化】【スキル吸収】【剛力】【闇滅】NEW!』

 邪竜を倒したことによって、新たな魔物スキルに【闇滅】が追加されていた。
「魔物スキルのこと?」
『いや、違う。ここでは状態の欄じゃ』
「【呪い】……だよね。でもこの詳細って、ベルも覚えてなかったんじゃないかな?」