そうすることによって魔剣の力が引き出される半面、副作用として邪念も一緒に入ってくるのだ。
 ならば。 
「ベルに言わないといけないことがある」
 これはここに来るまで、ずっと考えていたことだ。
 僕は覚悟を決めて、こう口を開く。
「僕はこの魔剣の所有者として、ふさわしくないかもしれない。魔剣を誰かに譲渡したり、元ある場所に戻すべきだと思う」
 僕の言葉を、ベルは真剣な眼差しのまま聞いていた。
 魔剣の力は絶大だ。
 オークキングだけじゃなくて、フライゴブリンや邪竜も倒した。こんな芸当はギャロルですら無理だろう。
 だが、今回のことで確信した。
 これを僕が使いこなすためには──力が足りない。
 力を欲するということは、僕が弱いからだ。
 そしてまた危ない目に遭ったら、僕は力を欲し、あの邪念が頭に流れ込んでくるかもしれない。
 そのことを想像するだけで、体が恐怖で震えた。