と重い口を開いた。
 僕はあの時、シンディーを助けたい一心で力を欲した。
 でも口から出た言葉は「殺したい」って不穏な言葉だった。
 しかも魔神の精神世界から出ていった後も、邪念は僕の頭を支配していた。
 それに。
「邪竜の時だけじゃない。僕がボロボロの剣を持って、オークキングに立ち向かった時も同じような感覚を抱いた。あれはなんなの? それに……妾に(・・)ってことは、ベルも同じように?」
 他人を守る力は必要だ。
 だけど──同時に僕はこう思うのだ。
 あの邪念に完全に体を委ねれば、僕は僕じゃなくなる(・・・・・・・・・)──って。
 そしてこれは自由に飼い慣らせるものとも思えない。
 そう──僕はここにきて初めて、魔剣の力を恐れているのだ。
『…………』
 ベルはすぐに喋らない。
 しかし僕はベルが喋り出すまで、じっと待った。
 そしてようやくベルは重い口を開く。