追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

 おかしいな。すぐ近くで聞こえたはずなのに……。
『下じゃ!』
 と続けて聞こえ、咄嗟に僕は下を見た。
 そこには……。
「ね、猫?」
 ──可愛らしい黒猫がいたのだ。
 立派な毛並みである。瞳は妖しげに赤く光っていて、どことなく不気味だった。
 どうしてこんなところに猫が……?
『ふう、やっと気付いたか。全く……急にぶつぶつ呟いて変なヤツだと思ったが、まさかそれに加えて間抜けだと思っておらんかったぞ。妾の主だとはとても思えない』
 黒猫は流暢にそう声を発した。
 ……。
 え、えー!?
「猫が喋ってる!?」
 理解が追いつかずに変な間が空いちゃったけれど、これっておかしいよね!?
 驚きの声をあげると、黒猫は溜め息を吐いた。
『どうやら今の妾は猫の姿をしておるみたいじゃな。まあそう驚くではない。それ自体はそう大事なことではないじゃろう?』