「ならば蹂躙せよ。圧倒的な力によって弱者を殺せ。さすればそなたの望むものは全て手に入るじゃろう」

　彼女の言葉を聞いて、僕は不思議な感覚に囚われた。
　どす黒い感情が体中に巡っていく。
　それは心地いいもので、ずっと体を浸していたくなるほどだった。
「──うん」
　その感情がなんなのか分からないまま、僕は即座に頷いた──。

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　次に──意識が戻って目の前に飛び込んできたのは、邪竜の足裏が迫ってくる光景だった。
　しかし先ほどまでの焦りや絶望感はない。
　僕は彼女から手を離し、魔剣を両手で握る。
「死ねえええええええええ！」
　振り上げる魔剣には黒炎が宿った。
　全てを燃やし尽くすような炎なのに、熱さは感じない。そんな異様な炎だった。
　その黒炎ごと僕は魔剣を一閃──邪竜の足を切断する。

　──グオオオオオオオオオ！