追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「ならば、それを言葉にしてみせろ。強い言葉は魔剣の力を呼び覚ます。さすれば魔剣の力を、そなたはさらに引き出せるはずじゃ」
 大人版ベルに言われ、僕の意志がさらに強いものとなる。
 彼女を真っ直ぐ見つめ、真摯に──そして強く、こう言葉を放った。

「邪竜を殺したい!(シンディーを助けたい!)」

 ──!?

 なんだ、今のは?
 いや、シンディーを助けるためには邪竜を倒す必要がある。だから大きな違いはないんだけれど……。
 僕が思ったのは「シンディーを助けたい!」という言葉である。
 しかし口から出てきたのは「邪竜を殺したい!」という、どす黒い感情から生まれた言葉だった。
 これはボロボロの剣が魔剣に覚醒した時と酷似していて──。
「そうか」
 僕が戸惑っている一方。
 大人版ベルは満足したように口角を吊り上げた。