「仕方ねえ! これは使いたくなかったが、このまま自警団に連れていかれるのだけはまずい! おい!」
「分かってる!」
 と言って、お互いに視線を合わせた。
 そして片方の男が胸元に手を入れて、そこから小瓶を取り出した。

 ──嫌な予感がする。

「待て! これ以上動くな──」
 僕はそう警告するが、少し遅かった。
 男が小瓶を地面に叩きつけたと同時──黒い光が辺りに拡散する。
 それ自体が攻撃かと思い、咄嗟に距離を取ったが──どうやらそうではないらしい。
 だが、事態はそれよりも悪かった。
 黒い光がなくなったかと思うと──眼前には巨大なドラゴンの姿があったのだ。
 

「どうしてドラゴンが!?」
 さすがに声を荒らげてしまう。
 しかも……これはただのドラゴンではない。
 全身真っ黒の鱗。目は紫色に光っており、見る者を威圧させる。