すると昨日の時のような、優しい温かさが体中に広がっていった。
 同時に体の内側から力が湧いてくるような感覚も生じる。
 強化魔法が効いている証拠だ。この状態なら、こんなヤツらに負ける気がしないね。
「あなたたちのような人の話を聞かない輩は嫌いです。昔の知り合いを思い出してしまいますから」
「ファイアーアロー!」
 彼らは僕の言葉を聞いていないのか──容赦無く炎魔法を発動する。
 複数の火の矢が、僕たちに襲いかかる。
「遅いですね」
 火の矢が僕の体に届くよりも速く──魔剣で斬り伏せ消滅させた。
 それを見て、男たちは驚愕する。
「なっ!? 剣で魔法を斬っただと?」
「しかも速すぎんぞ!? おい、どういうことだ。話が違うぞ。報告(・・)では新人冒険者のはず──」
 片方の男が言葉を続けようとしたけれど、全て言い終わるまで待ってあげる義理はない。