戸惑っているのも束の間──気付く。
 右手で握っているボロボロの剣。
 その刀身が、禍々しい黒に染まっていたのだ。
「なんだ、なにが起こっている?」
 しかし考えている時間はない。
 まるで僕は導かれるように剣で棍棒を受け止めようとした。

 ズシャアアアアアアアッ!

 ただ攻撃を防ごうとしただけなのに、剣が当たっただけでオークキングの棍棒が両断された。
 オークキングはその勢いに圧され、よろめきながら後退する。
「はあああああああああっ!」
 千載一遇のチャンス!
 僕はボロボロの剣──いや、謎の黒剣でオークキングを一閃した。
 オークキングが悲痛な叫び声をあげながら、地面に倒れ伏せる。
 そして巨体が消滅し、代わりに地面に丸い核が残っているのを見て──オークキングが完全に死んだことを理解するのだった。


 オークキングの核の前で、僕は呆然と立ち尽くしていた。