じゃあ早くこの場を去ろう。また昨日みたいなゴブリンの群れに出会したら、時間を食う──。

「待ちな」

 ──しかしこういう時、往々にして僕には悪いことが起こりがちである。
 木の陰からふたりの男が姿を現して、僕たちを呼び止めた。
「お前らに話がある。ちょっと面を貸してもらおうか」
 いきなり現れたそいつらの口元には、ニタニタとした笑みが浮かんでいた。
「あなたたちは……」
 言いながら──僕は昨日見た新聞の記事を思い出す。
 現れた二人組の男は裾が長い緋色のローブに身を包んでいる。フードを深く被っているため、目元は見えない。
 こういう男たちを僕は見たことがある。
「べ、ベルフォット教の人たちですか!?」
 どうやらシンディーも気付いたみたいで、そう警戒を募らせた。
「ははは、よく分かってんじゃねえか。オレたち、結構有名人だな」