シンディーの口を無理矢理手で塞いで、僕は冒険者ギルドを急いで後にするのであった。


「結構、奥まで進んできましたね」
　ミースネの森に着いて、二時間くらいが経過した頃だろうか。
　シンディーがそう口にした。
「うん。そろそろオブペシアの花はあるかな？　ここに来るまでは見つからなかったけど……」
『フィル〜。妾はもう退屈じゃ。さっさと街に帰って、フランクフルトを食すのじゃ』
　痺れを切らしたベルは、さっきからそう不満を口にしていた。
「それにしても……やっぱりフィルさんはさすがです！　魔物をずばばばばーってやっつけちゃうんですから！」
　街での出来事が嘘のように、シンディーの機嫌は直っていた。
　彼女は瞳をキラキラと輝かせて、声を弾ませる。
「そんなことはないよ。これも全部、この剣のおかげだから」
　と魔剣を掲げた。
　ここに来るまでの道中、何体か魔物が襲いかかってきた。