受付嬢さんの質問に、僕は首を左右に振る。
「まあ無理もありません。オブペシアの花はこの周辺でしか咲かない花。この街に来たばっかりのフィルさんが知らなくても仕方ありません」
「そうだったんですね。でもどうして僕にこの依頼を?」
「オブペシアの花は高値で取引されます。だから最近は乱獲が進んでいて、希少性が高まっているんです。そのせいでミースネの森の奥くらいにしか咲いてないんです」
 ミースネの森……というと昨日ゴブリンを倒し、シンディーを助けたところか。
「森の奥に進めば進むほど、魔物の数も多くなり強い個体も増えてきます。だから普通の新人冒険者には頼めないんですが、生憎(あいにく)高ランクの冒険者がほとんど出払っていて──」
 と受付嬢さんは言葉を一瞬溜めて、こう続ける。
「フィルさんなら大丈夫……と思いまして。どうですか? お受けいただけますか?」
「うーん……」