これは王都のギルド内で、ギャロルの評判が悪いことに一因する。
 彼は依頼をこなす際にも、無駄な略奪に手を染めることが多い。
 さらに力の加減もせずに、欲望のまま暴れ回る傾向があった。
 そのせいで魔物を倒したとしても、周囲の建物や無害な人間にも被害が及び、依頼主からクレームを何度か受けたことがある。
 そのせいで『ギャロルお断り』の文言が入った依頼が増え、ギルドとしても彼の扱いに困っている──という事情は、さすがのギャロルも知っていた。
「つまらねえことを言うんじゃねえよ。なんか一個くらいあんだろ。それに知ってるか? こういう時にこそ、往々にして良い依頼が回ってくるというもんだ」
 ニヤリと獣のような笑みを浮かべるギャロル。
「分かったなら、さっさと行くぞ」
 唾を地面にペッと吐き捨て、ギャロルは冒険者ギルドに向かって歩き出した。
 そんな彼の姿を、他のパーティーメンバーも慌てて追いかけるのだった。